見出し画像

家で楽器を弾くのは難しい? 知っておきたい住まいと防音の話

こんにちは。
LIFULL HOME’S 住まいの窓口note編集部の山口です。

私たちの生活に身近な音楽。聴くだけではなく自分で演奏して楽しむ人も多く、令和3年の社会生活基本調査(総務省統計局)によると、趣味・娯楽に時間を使っている9,703 万1千人のうち、楽器の演奏を楽しんでいる割合は、10.2%でした。つまり、日本の楽器の演奏人口は1,000万人近くいると推測されます。

みなさんのなかにも、
「昔習っていた楽器を再開して楽しみたい」
「子どもに楽器を習わせたい」

という人が少なからずいるのではないでしょうか。

一方で、楽器を演奏するうえで気をつけなければならないのが騒音の問題。特に家で演奏しようとすると、自分では気にならなくても近隣には迷惑になってしまい、時にトラブルに発展してしまうケースもあります。

そこで、今回は楽器演奏と住まいの防音についてご紹介していきます。



楽器を弾くとどれくらい「うるさく」なる?

そもそも、楽器の音がどれくらい「うるさい」のか、みなさんは想像がつきますか?
代表的な生活音の例とその騒音レベルを整理したのが以下の表です。
音が大きいイメージのあるパチンコ店の店内で、90dB(デシベル)ほどとなっています。

騒音の目安(都心・近郊用) ※全国環境研会誌 Vol.34 No.4 (2009) 「騒音の目安」作成調査結果より(騒音調査小委員会)

環境基本法では、住宅地で昼間は55dB、夜間は45dBを上回ると騒音になるとされています。
楽器音はこのなかには表記されていませんが、おおよそ80~130dBくらいと、この基準を大きく上回る大きさ。騒音とも十分とらえられることが分かります。

ちなみに楽器を音の大きい順に並べると、次のようになります。

  1. ドラム、パーカッション

  2. トランペットなどの金管楽器、サックス

  3. ピアノ、クラリネットなどの管楽器(サックス以外)

  4. バイオリン、ギターなどの弦楽器

ドラム、パーカッションなどの音は120~130dBとされ、車のクラクション音や飛行機のエンジン音などと同程度。演奏している人からすると実感がないかもしれませんが、相当な大きさになることが分かりますね。


家で楽器を弾くのは難しい? 賃貸の場合

「楽器の音がかなりの大きさであること」は、先の例でお分かりいただけたと思います。
こうした背景もあり、特に賃貸の家で暮らしている場合、楽器演奏は基本的にNG。しかし、「楽器可物件」もしくは「楽器相談物件」であれば楽器を弾くことができます。

この「楽器可物件」と「楽器相談物件」の違いについて見てみましょう。

楽器可物件

楽器可物件には、防音性能の高い物件と、防音性はそこまで高くないものの常識の範囲内での演奏はOKとされている物件があります。
防音性能の高い物件の中でも完全防音だと24時間楽器の演奏ができますが、防音性があまり高くない物件では、「20時以降は演奏禁止」や「楽器はギター・ピアノのみ」など条件があることが多いです。

楽器可物件は、基本的にそのエリアの相場より家賃が高い傾向があります。音楽大学や音楽系の専門学校の周辺に多く集まっているのも特徴です。

楽器相談物件

特別な防音対策を施していないものの、楽器演奏ができる物件。
大家さんの好意で演奏が許可されているもので、楽器可能物件の一部と同様、演奏時間や演奏できる楽器にルールがあります。

楽器可物件よりも数は多くなりますが、入居者の中に楽器を演奏しない人もいるため、楽器可能物件よりもクレームなどにつながりやすいです。
楽器可物件より他の入居者への配慮が求められる家ともいえますね。

つまり、「楽器可」「楽器相談」といっても完全防音でない限り、賃貸物件で演奏しようとすると騒音トラブルのリスクがあるのです。

なお、分譲マンションの場合も賃貸物件ほどではないものの、楽器演奏には規則がある場合がほとんど。
同じく完全防音物件である、もしくは共用の防音室などがない限り、騒音トラブルは起こりやすいといえます。


家で楽器を弾くときの防音対策って?

ただ、完全防音でなくても音を抑える工夫はできます。その一部をご紹介しましょう。

①音量を抑えるミュート器具を利用する

ミュート器具とは、楽器につけることで音量が抑えられるもの。管楽器・金管楽器・弦楽器など、それぞれの楽器に合わせて音量を抑える機能を持ったミュート器具があり、音量を小さくすることができます。

②電子楽器を演奏する

電子ピアノやエレクトーン、電子ドラムといった電子楽器はヘッドホンを使うことで外に音が漏れることなく演奏できます。※ペダルを踏む音への配慮は必要です。
また、近頃は電子サックスや電子クラリネット、電子フルートなど、電子管楽器も登場しています。こちらもヘッドホンやイヤホンで音漏れを外に出さずに演奏できます。

③防音シートや防音マットを利用する

防音シートや防音マットなどを使って、部屋からの音漏れを軽減する方法もあります。
防音シートは、壁・窓・床に設置することで吸音してくれるもの。賃貸物件でも傷をつけずに設置できます。一方防音マットは、ピアノやドラムなど、ペダルなどの音が階下に響きやすい楽器を演奏するときに有効です。


家で楽器を自由に演奏するなら、一戸建ての購入も手

ここまで賃貸物件を中心に演奏事情や防音対策をご紹介してきましたが、やはり賃貸物件だと家で楽器を自由に楽しむ手段は限られてしまいます。
ですので楽器を本格的に楽しみたい、子どもに伸び伸びと楽器を演奏してほしいなどと考えるなら、防音性の高い一戸建てを建てる・購入するのがおすすめです。

もちろん、一戸建ての家でも騒音リスクがないわけではありません。
ただマンションほど隣家との距離が近くないですし、特に注文住宅であれば、

  • 防音室をつくる

  • 気密・断熱性を高める

  • 防音性の高いサッシをつける

  • 防音性の高いRC造・SRC造などにする

などの選択もできるので、総じて防音対策をしやすくなります。

楽器に限った話ではありませんが、自分たちが出す音で周りの人の迷惑になってしまうことは避けたいもの。
楽器の演奏頻度はもちろん、どんな家なら自由に快適に暮らせそうかを考えながら、住まいを検討してみてください。

住まいの窓口でも防音に詳しい建築会社の紹介などができますので、活用してみてくださいね。


家探し・家づくりの無料相談サービス 
「LIFULL HOME'S 住まいの窓口」

ハウジングアドバイザーが中立的な立場で理想の住まい探し、家づくりをサポートする窓口です。購入までの進め方、物件の探し方や住宅ローンの組み方といった疑問を、無料で何度でも相談できます。さらに立地や予算、ご希望に合わせて、複数の建築会社・不動産会社を紹介。理想の住まいを叶えるために、さまざまな側面からお手伝いします。

▼住まいの窓口noteのその他の記事はこちらからご覧いただけます


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

最後まで読んでいただきありがとうございます。住まいの窓口のHPもぜひチェックしてみてくださいね。